伊予の西条歴史散策
ふるさと伊予西条の隅々まで歴史や文化の足跡を辿っています。


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林芙美子の手紙/東予の案内板7



林芙美子の手紙


大変御無沙汰しました。


私も明後日でもう23になろうとしています。


長い事会っていませんが、御変りありませんか。


只今、東京の方におります。


色々な苦労をなめ、

それでも私は元気よく生活しております。


母はやはり父の方におります。


私は一人でこちらにいるのです。


随分長いこと音信もなく、

現在血を分けた父のありかも知らないでいる私でした。


先日下関の方に、

かすかな記憶をたどって出してみたところ、

わかりましたので手紙を書くことが出来ました。


何か商売していらっしゃいますか。


貴方はいつも元気だから安心しています。


私も只今は小説だの子供の童話など書いて、

まあ、私一人位はすごしております。


1月か2月に詩集を出したいと思いますが、

何分貧乏で仕方がありません。


きっと偉くなりますから見ていて下さい。


ほんとうに力強く闘って行きます。


今こそ野中にたった一本の身の上なんです。


人間と云うもののあまり頼りにならない世に、

私は私自身を資本に勝負をしなければならないのです。


体だけは元気です。御安心下さいませ。


何もかも忘れ、この不幸な私を、

父上は愛して下さるでしょう(御自愛を祈ります)。


御一家様によろしく、さようなら。


(蛇足)


この手紙は、

作家として日本文学史にその名を残す林芙美子が、

父、宮田麻太郎に大正13年12月に書かれた手紙です。


現在、麻太郎氏の生家は、取り壊されていますが、

旧東予市新町の新福寺に宮田家の墓地があります。


なお、林芙美子の手紙の碑は壬生川駅前にあります。